本書は、税理士・再生コンサルタントとして活躍する長瀬幸彦氏が、TOC理論をベースにタイムマネジメントに特化させた独自の“工期短縮プログラム”について説いたもの。序章では、プログラムを導入するための下地づくりとして、長瀬氏がこれまでかかわってきた多くの会社から得た実態をもとに、倒産を防ぐため、“会社ごっこ”を脱するための経営のあり方について見解を述べている。第2章では、本書の核心となる“工期短縮プログラム”の導入解説。建設業を例にとって述べているが、このプログラムは単に建設業だけが活用できるものではなく、製造業、コンピュータのソフトウエア開発など、時間をマネジメントする業種に利用可能。得てして小難しくなりがちな話を噛み砕いてわかりやすく書いているので、受け入れやすいといえるだろう。第3章は実例編として、実際に“工期短縮プログラム”を導入した会社レポートを掲載している。疑心暗鬼で始めたものの月日が経つごとに変化していく組織の様子が伺え、読んでいくにつれて共鳴できるところを覚えるだろう。
建設業において、“工期短縮”はこれまでも取り上げられている大きな課題ではあるが、“組織改革”という本題を見落とすことはできない。建設業を始めとした全国の社長さん、必見の書である。